司法試験受験記(3) 立ちはだかる論文試験

前回は,こちら

 

 前回,最初の論文試験の総合成績がAであったという話をした。

 今,思い返してみると,総合成績は「B」だったかも知れないが,まあ,

気にしないことにする。

 

 このとき,「このまま勉強続ければ,あと1~2年で合格できるだろう」と思ったとしても,責められまい。

 

 ちなみに,このとき,論文用の勉強はほとんどやってなかったので,本試験は,ぶっつけ本番に近い。

 短答式試験の勉強の際,教科書を繰り返し読み込んでいたので,思い出せる知識を総動員して,何とか答案らしきものを書き上げたというのが,実際だ。

 

 今思えば,論文試験に特化した準備をしていなかったからこそ,「問いに答える」ことに専念できたのであろう。

 その結果,大したことは書けなかったが,大きな失敗もなく,相対的に浮き上がったのだろうと,今ならば思う。

 今,もう一度,論文試験を受験するならば,短答式試験のときの勉強法を論文用にアレンジしつつ,過去問演習と教科書読み込みに専念していたであろう。

 

 ところが,初めての論文試験で好成績を取った私は,そのことに気づかず,誤った方向に行ってしまった。

 「予備校の問題集を集めて,解答を繰り返し読んで覚える」という方法が,それである。

 

 現実には,このような方法で合格する人もいるが,私の場合は無理だった。

 過去問演習を怠ったせいか,いつのまにか,論文用の勉強の中心が「覚える」ことに特化し,「問いに答える」ことができなくなっていた。

 具体的には,論文を書くとき,ニュートラルに問題文を読むことをせず,自分の知っている範囲に引きつけて,関係ない議論を展開してしまう癖がついていたようだ。

 

 結果は,2回目の論文試験で如実に現れた。

 総合成績が,いきなり「G」,つまり,最低ランクに落ちたのである。

 

 しかし,当時の私は,自分の勉強方法について検証することなく,更なる「予備校の問題集集め」に邁進するのだった。

 

続く