兄弟姉妹ではなく,妻に全財産を残したい


【質問】

 

 私は,妻と2人暮らしで,子供はいません。

 私も体が弱ってきたので,そろそろ相続のことを考えなければと思っています。

 私には姉と弟がいますが,私としては,これまで私のことを支えてくれた妻に,全財産を相続させたいと思います。

 何か,いい方法はありますか?

 


【回答】


 妻に全財産を相続させるという内容の遺言書を作成すれば,妻に全財産を相続させることができます。


【解説】


 法律上は,奧さんが2分の1,姉と弟が4分の1ずつ相続するのが原則ですが(民法900条。これを,「法定相続分」と言います。),法定相続分は絶対ではなく,あなたは,遺言書で,法定相続分と違う相続割合を定めることができます。

 

 もっとも,相続人には遺留分が認められていますので(民法1028条),遺留分を侵害するような内容の遺言書を作った場合,後で,相続人から,遺留分を侵害している部分について無効を主張される可能性があるのですが,民法1028条は,「兄弟姉妹以外の相続人」としておりますので,同じ相続人でも,兄弟姉妹には遺留分がないことになります。


 そのため,結局,自己の財産を妻に相続させる内容の遺言書を残しておけば,全財産を妻に残しておくことができます。