本「金融円滑化法出口戦略」を読む(5)

(前回は、こちら

 

前回、「本には書かれていないけれど、デューデリジェンスについては、押さえておくべき大事なポイントがある」と書きました。

といっても、難しい話ではありません。事業経営者ならば、いつも考えているであろうことです。

 

「デューデリジェンス」って、無料でできると思いますか? 金融機関が、デューデリジェンス費用を援助してくれると思いますか?

・・・そういうことです。大事なのは、「お金の都合」です。

 

本書では、事業再生支援制度として、中小企業再生支援協議会、企業再生支援機構、事業再生ADR制度の活用について説明されていますが(117頁~152頁)、デューデリジェンスの実施や再生計画の準備に要する費用は、基本的に、債務者持ちです。

(正確に言えば、中小企業再生支援協議会を利用する場合、協議会からは若干の援助がありますが、あくまで「若干」です。)

 

そして、デューデリジェンス費用というのが、意外に高い。

従業員が数人という債務者でも数十万円かかるのが普通ですし、従業員数100人クラスの債務者なら、「事業デューデリジェンス」、「財務デューデリジェンス」の両方を実施すれば、数百万円単位の費用がかかることも珍しくありません。

 

というわけで、債務者としては、金融機関との間で返済条件の変更について交渉を始める前に、「軍資金」を確保しておきましょう。交渉期間中は、金融機関からの融資は望めないでしょうから。

 

ところで、前に少し触れた中小企業再生支援協議会ですが、協議会を利用するのなら、今が狙い目かもしれません。

次回は、その点について少し説明します。

 

(続く)