越純一郎さんの講演を聴きに行く

少し古い話だが、9月7日(金)、大和不動産鑑定株式会社の主催する講演会に行ってきた。

 

そこで、「事業再生の要諦」という本の著者である越純一郎さんから、「ニューノーマル時代の不動産市場」という表題でお話しを伺った。

 

以下、記憶に残った点を記してみる。

 

  • 「人口ボーナス期」とは、「生産年齢人口の増加率が総人口増加率を上回る時期」であり、人口ボーナス期には、経済が高度成長しやすい。
  • ただし、人口ボーナス期は、一旦終了すると二度と生じず、人口ボーナス期の終了時点で、その国の豊かさ(例えば、1人当たりのGDP)はほぼ固定される。
  • 日本は、既に人口ボーナス期が終了している。中国、台湾、韓国、シンガポール、香港、タイも、遅くとも2015年までに人口ボーナス期が終了する。
  • 現在の日銀法では、日銀が独自に金融政策を決定できるようになっており、日銀が「関東軍」化してしまっている。
    そのため、OECDは、昨年4月、日本の金融政策の枠組みを改善するよう求める報告書を提出しており、日本国内でも、日銀法改正を求める動きが始まっている。
  • 「介護保険や太陽光発電は成長分野だ! ビジネスチャンスだ!」と考えるのは日本人特有の珍現象。アメリカ人は、誰も気づいていないマーケットを見つけようとし、次に、誰かが気づいてきたときの対策を講じようとする。
  • 中小企業にとって、特許取得による特許バリアーはあまり頼りにならない。「低収益性による参入障壁」「小さい市場で大きなシェア」などの方が有効である。

 

越さんによると、ビジネス分野での優れた実務家にとってはいずれも「常識に近い」ことらしいが、私にとっては初耳の話が多く、とても面白かった。

 

越さんから「質問・感想は遠慮なくメールください」と言われたので、その日の夜、感想をメールで送ると、翌朝には返事が返ってきていた。

うーむ、仕事が出来る人というのは、やはり違うものだと、感心するばかりであった。

 

というわけで、越さんから紹介されていた「誰も語らなかったアジアの見えないリスク」という本を、早速注文しました。