書評 「クリエイターのための法律相談所」

本書は、デザイナー、イラストレーター、カメラマン、編集者といった、デザインに関するものづくりに携わる人に役立つ法律の内容や仕組みを紹介した本です。

 

クリエイターは個人で仕事をすることが多いため、法律問題について疑問を持っても、周囲に相談できる人のいないことが少なくないと思われます。本書は、法律の初心者向けに書かれており、内容も160ページ余りと薄いですから、一度さらっと目を通しておけば、いざというときに力になってくれるでしょう。

 

他方、弁護士にとっても、デザインに関する法律問題は、取り組みにくい法律問題の一つです。デザインに関する法律問題では、著作権、意匠権、商標権など知的財産権に関する法的知識が必要になるところ、知的財産権を専門にしている一部の弁護士は別にして、私(後藤)を含めた大方の弁護士は、知的財産権が絡む法的トラブルについてはあまり経験を積んでいないと思われるからです。

本書は、そのような、「知的財産権を専門とはしていないけれど、最低限の対応力は身につけたい」と考えている弁護士にとっても、

知的財産権法の道しるべとして役に立つと思います。