銀行救済のツケは国民に~スペインの話です~

平成24年6月26日付朝日新聞の朝刊の経済面に、「傾く銀行の信頼 負担は国民に」という記事が載っていました。

 

内容は、不動産バブルの崩壊で業績が悪化したスペインの銀行を公的資金注入で救済することになり、スペイン国民の銀行に対する信頼が傾いているというものですが、現在のスペイン銀行の行動パターンが、不動産バブル時における日本の銀行の行動と良く似ており、金融機関というのはどこでも同じものだなあと、妙に感動しました。

 

以下、記事の一部を引用します。

 

「銀行の強引な(金融商品の)勧誘の被害にあったのは、全国で約100万人。被害総額は約300億ユーロにのぼる。そのうち半数は不動産バブルの崩壊後、経営難に陥った銀行が金集めに走った結果とみられる。」

 

日本でも、各銀行(特に、メガバンク)が、個人に対しては「相続税対策」として変額保険が、企業に対しては「金利変動・為替対策」として金利スワップ・為替スワップが売りこまれていた時期があります。特に前者は、相続税対策になるどころか多額の損失を出して自宅を失う人が続出し、一時期社会問題になりました。

 

「スペインでは2000年代に、銀行の潤沢な融資をもとに各地で住宅やリゾートマンションの開発が進んだ。08年前後にバブルがはじけると、開発業者への融資や住宅ローンの返済が滞り、銀行は不良資産を抱えた。」

 

1980年代後半の日本の銀行も、また同じでした。バブル崩壊後、多額の不良債権を抱え、いわゆる「貸し渋り」「貸しはがし」が横行したのでした。

 

「(中小企業経営者団体の会員の発言として)バブル期に銀行は『金を借りてくれ』と繰り返し、『どう使おうと自由だから』と一方的にお金を振り込んできた。バブルがはじけたら、手のひらを返し、まったく貸してくれなくなった。」

 

私が債務整理の相談を受けた会社の中でも、時々、同じような体験をしてきた会社に出会います。

銀行が公に認めることはないでしょうが、不動産バブル時代は、今とは比べものにならないぐらい、いい加減な融資が横行していたのでしょう。

 

新聞記事はスペインの話ですが、日本も対岸の火事と済ませられるかどうか。

日本国債の価格が暴落すれば、日本国債を大量に保有している日本の銀行の中には、債務超過に陥るところも出てくるでしょう。

そのとき、日本政府は公的資金を使って銀行を救済するのか、いや、そもそも、「公的資金」を捻出するような予算が組めるのか(日本国債価格が暴落するということは、日本国債が売れなくなるということですから、予算編成にも支障が出てくるのです)。

 

というわけで、スペインを含めたEUの情勢には、これからも注目した方が良さそうです。