弁護士の「専門」というもの

自己紹介をしたとき、初めて法律相談を受けるとき、

良く、「ご専門は何ですか?」と質問される。

また、「離婚(あるいは他の分野)の専門弁護士はおりますか?」と質問されることも多い。

 

おそらく、医者にも外科、内科、耳鼻科などの専門があるように、弁護士にも、それぞれの「持ち場」があるはずだという想像から、「ご専門は?」という質問になるのだろう。

 

ただ、この質問、実は、答えるのはなかなか難しい。

というのも、日本弁護士会連合会では、弁護士が広告を出す際、「専門家」「専門分野」の表示は控えるようにと指導しているからだ。

 

その理由は、「専門性判断の客観性が何ら担保されないまま、その判断を個々の弁護士に委ねるとすれば、経験・能力を有しないまま専門家を自称するというような弊害もおこりうる」からとされている。

同じ理由で、「得意分野」という表示も控えるように指導されている。

 

ただ、それでは、依頼者は途方にくれるであろう。自分が相談しようと思っている弁護士が、自分の困り事について「専門家」なのかどうか、知りたいと思うであろう。

 

そこで、個別分野毎の、一般的な傾向を説明したい(あくまで、「一般的な傾向」なので、念のため)

 

  1. 離婚・相続・借地借家紛争・貸金返還請求など
    みなさんにもなじみ深いジャンルであろうが、弁護士にとってもなじみ深い、つまり経験の多いジャンルであり、大方の弁護士は対応できると思う。
  2. 医療過誤、知的財産関係など
    取り扱っているのは、特定の弁護士に限られている。まさに「専門弁護士」が必要な場面である。
  3. 倒産・企業再建・刑事事件など
    1と2の中間ぐらいであろうか。「特定の弁護士しか取り扱わない」という程ではないが、弁護士によって、経験値の差が結構出てくる分野である。

 以上、あまり参考にならなかったかもしれないが、つまりは、「専門分野」と言っても、「多くの弁護士が一通りのことをできる分野」から「普通の弁護士には全く手が出せない分野」まで、色々あるということです。