塩野七生「ローマ人の物語 ローマ世界の終焉」を読んで

文庫版「ローマ人の物語」の最終巻が発売されたので、

さっそく買って読んでみた。

 

滅亡前の西ローマでは、皇帝が頻繁に交代したという。

また、国の財政悪化のため、道路、水道等の社会インフラの整備がなされなくなり、治安も悪化していたという。

つまり、国が、住民の生活を守れなくなったということだ。

 

ひるがえって、今の日本はどうだろうか。

財政が悪化しているという点では、古代の西ローマ帝国も日本国家も変わりはない。

どんな立派な政策にせよ、実行するには予算という裏付けがいる。予算がなければ、それは絵に描いた餅でしかない。

今の日本も、そのような状況だと思う。政策を実行するだけの予算的裏付けを確保できないから、公約を実行できず、結果として、ここ数年の政権が短命に終わっているのではないか。

 

西ローマ帝国の最後は、実にあっけないものだった。

なぜなら、傭兵隊長オドアケルによって最後の皇帝が廃位された当時、皇帝を頂点とした政府の機能は有名無実化していたからである。

 

日本の政府も、いつか、財政的に破綻したら、そのような存在になるのかもしれない、それなら、リスクマネジメントという観点からは、「お上頼み」の姿勢は危険だと、本書を読んで考えたのだった。